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漢方閑話㉝ 漢方の学会

「漢方閑話」は『富士ニュース』に投稿しているコラムです。
こちらでは過去に投稿したものを転載します。
今回は2019年5月に投稿された漢方閑話をご紹介します。

◇満開の桜のもと多くの人が参拝に訪れる芝・増上寺近くのホテルで中医学(中国の漢方医学)の学会が開かれました。この度開かれたのは世界中医薬学会連合会と日本中医薬研究会の共催によるものでした。日本、中国、韓国、オーストラリアなどの漢方家(中医学研究家)700人が一堂に会して生殖医学(不妊症)、皮膚科(アトピー性皮膚炎)、鍼灸などの分野の研究発表を行うものです。中国の各省にはそれぞれ中医薬大学と付属病院があり西洋医学の発展した分野と中医学を結合してよりよい中西医結合が行われ例えば生殖補助医療(ART)と中医学の結合などが行われています。口演した演者のうちの何人かはかつて訪中し診療見学・受講したことのある大学の教授でした。その方々が口演するのです。
◇数ある発表の中で興味を引いたのは「暗経の流産事例」(原発性無月経?)の発表でした。女性は生まれてから成長し第二次性徴が見られて乳房が発達し初経を経験し毎月の月経を見て結婚し子宝に恵まれた人は養育しやがて閉経し老化の域に達すると考えられています。古典には女子は7才にして腎気が盛り上がり女らしさを現し乳歯は脱落し永久歯になり頭髪も長く伸びる。14才ごろになると経水は充実し血の貯蔵庫たる任脈は通じ子種を育てる原動力たる衝脈が盛り上がり月経がはじまる。これですべての生理機能が成熟するので受胎することができる。21才の頃になると衝脈、任脈をはじめすべての経脈がいきわたりいわゆる成人になる。28才の頃になると筋骨は堅固となり髪の毛の成長もその極に達します。35才の頃になると衰えが見え始め顔や頭髪は抜け初め42才頃になると顔はやつれしわが多くなり髪も白くなる。49才の頃になると衝脈も任脈も衰えて経水も涸れて閉経に至るとあります。
◇発表では生まれながらにして月経がなく妊娠能力のある人「暗経」の人が第一子は自然妊娠し、第二子不妊で相談に訪れたものです。これまで自力月経をみずに初経がないままに結婚、妊娠、流産を経験、病院で血液検査、ホルモン検査を受けますが消退出血はありません。ホルモンに異常はなく子宮内膜が薄いと言われました。自然妊娠4回、流産2回の37才の主婦です。腎気を補い衝任の脈を通じ気血を補い血液循環を良くして腎精を充填しますと暗経のママに第二の朗報がもたらされました。

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